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大阪地方裁判所 平成9年(ワ)3224号 判決 1998年5月29日

原告

川合敦子

右訴訟代理人弁護士

加地和

増田幸雄

被告

エヌ・ティ・ティ・テレホンアシスト株式会社

右代表者代表取締役

明光成夫

右訴訟代理人弁護士

高坂敬三

夏住要一郎

岩本安昭

右高坂敬三復代理人弁護士

阿多博文

主文

一  被告は、原告に対し、四八万七五二九円を支払え。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、これを一〇分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一原告の請求

一  被告が平成八年一二月一〇日付けで原告に対してした解雇が無効であることを確認する。

二  被告は、原告に対し、平成八年八月二八日以降、毎月一四万八六八〇円を支払え

第二事案の概要

本件は、被告から解雇された原告が、解雇が無効であるとして、解雇無効の確認並びに過去及び将来の未払賃金の支払を求めた事案である。

一  前提となる事実(争いのない事実及び弁論の全趣旨により認められる事実)

1  被告は、電話番号案内業務、電話による注文受付の代行業務等を業とする株式会社であり、原告は、平成六年六月、京都府向日市に所在する被告の一〇四京都西山センタ(以下「西山センタ」という)において、電話による電話番号問合わせに対応するオペレーター業務に従事するパートタイム従業員として、被告に雇用された。

2  右雇用契約は、その後、何度か更新され、平成八年八月一日に更新されたときは、その契約期間は、平成九年一月一三日までであった。

3  被告は、平成八年一二月四日、同月一〇日付けで原告を解雇した(以下「本件解雇」という)。

4  原告は、被告から、次のとおり賃金を支給された。

(一) 平成八年七月(同年六月分) 一六万一一四二円

(二) 平成八年八月(同年七月分) 一一万〇五二〇円

(三) 平成八年九月(同年八月分) 一五万二〇八〇円

二  被告の主張(本件解雇の理由)

1  原告を解雇するに至った経緯は、次のとおりである。

(一) 原告は、採用以来、欠勤が多く、顧客からの電話番号の問合わせに対する対応も適切さを欠き、顧客からの苦情が絶えないばかりか、顧客の対応に苛立って台を足蹴りにしたり、独り言を吐いたり、悪態をつくなどの行為を繰り返すなど、勤務状況が芳しくなく、上司がそのつど指導してきたものの、一向に改善されなかった。

(二) 原告は、雇用契約期間が終了する間際の平成八年七月二七日から同月三〇日まで無断欠勤したが、その後、一から気合を入れてやり直したい旨述べたため、被告は、雇用契約を更新することとし、同年八月二日、原告に対し、パートタイマー雇入通知書を交付して契約更新の手続をした。

(三) しかしながら、雇用契約更新後も、原告の勤務状況は改善されることはなく、次のような行為が続いた。

(1) 平成八年八月一一日

顧客との応対中オペレーター台を足蹴りし、応対の内容も適切でなかった。

(2) 同年八月二一日

勤務中突然自己のオペレーター台の電源を切り、上司がなぜ切ったのか詰問しても、横を向いて黙ったまま返事をしなかった。

(3) 同年八月二四日

顧客との対応中一方的に回線を切断し、怒った顧客から「さっきの者を出せ」という苦情の電話が入った。

(4) 同年八月二七日

顧客との対応中、一方的に回線を切断し、上司が注意すると、顧客の方が悪いといって反省を示さなかった。

(四) 被告は、右平成八年八月二七日、西山センタの山本正男所長代理(以下「山本代理」という)において、原告に対し、一方的に回線を切断したことを注意し、反省を促したが、原告は、自分は悪くない、システムが悪い、このままのシステムでは今後も電話を切ることもあるなどと言って開き直ったため、たまりかねた山本代理は、原告のIDカードを取り上げ、帰宅させた。

(五) 同年九月六日、西山センタの行カツ子所長(以下「行所長」という)らが原告宅を訪問し、原告及び両親に対し、<1>顧客との対応中、一方的切断はしない、<2>顧客との対応中、顧客と口論はしない、<3>キーボードの乱暴な取扱いや台の足蹴りをしない、という三条件の遵守を確約するならば、引き続き業務に従事させる旨述べたが、原告はこの三条件に納得しなかった。

その後も、被告と原告及び両親との間で話合いが何度か持たれたが、右三条件が復帰の条件であるとする被告と、右三条件は納得できないとする原告側との主張が平行線をたどり、合意に達する見込みがなかったため、被告は、同年一二月四日、被告のパートタイマー就業規則(以下、単に「就業規則」という)第一〇条に基づき、原告を解雇した。

2  原告が従事していた電話番号案内業務は、有償で顧客にサービスを提供する業務であるから、最善を尽くして雷話番号を検索することがオペレーターの使命であり、原告のように、顧客と論争したり、一方的に回線を切断したりすることは、被告はもとより、NTTに対する顧客の信頼、評価の低下につながりかねない行為であり、許されない。また、オペレーター台の足蹴りや独り言は、臨席のオペレーターの対応の際に顧客に聞こえるおそれもあり、周囲の担当者にも非常に不愉快な感じを抱かせるものであり、職場秩序を乱す行為であって、許されない。

原告は、このような行為を繰り返したうえに、上司の注意にも開き直り、業務命令に従わない旨宣言したのであり、就業規則第一〇条五項「職責を尽くさず、又は職務を怠り、よって業務に支障をきたしたとき」及び同条六項「業務上の指示命令に従わないとき」に該当することは明らかである。そのうえ、被告は、従業員として守るべき極めて当然の三条件を提示し、原告が反省するなら職場復帰を認めるべく交渉したものの、原告は、かたくなに右三条件の遵守を拒んだのであって、本件解雇には正当な理由がある。

三  原告の主張(解雇権濫用)

1  原告は、平成八年八月一日に雇用契約を更新されているのであるから、原告の主張する右同日以前の諸事実は、本件解雇の正当性を基礎付ける事実にはなり得ないというべきである。

仮にそうはいえないとしても、被告の主張する事実は、いずれも、事実と相違するか、原告の説明や改善指導の要請を無視して被告が一方的に評価を下しているに過ぎないもので、特に問題とするには及ばないものである。

また、同年七月二六日から三〇日までの欠勤は、右二六日に上司から帰宅するよう指示され、その後被告からの連絡を待っていたのであって、無断欠勤ではない。

2  平成八年八月一日以降の事実については、次のとおりであり、いずれも就業規則第一〇条に該当する行為ではなく、解雇理由になり得ない。

(一) 同月一一日に、台を足蹴りしたり、適切でない応対をした事実はない。

(二) 同月二一日、自己のオペレーター台の電源を切った事実はなく、コンピュータ画面が動かなくなったので、業務をリセットするボタンを押しただけである。

(三) 同月二四日に顧客との応対中一方的に回線を切断した事実はない。これは、別のオペレーターの対応に怒った顧客からの電話であり、顧客が一方的に怒鳴っていたため、「切らしていただいてよろしいでしょうか」と断って電話を切ったに過ぎない。

(四) 同月二七日に回線を切断したのは、電話番号の届出がない旨告げたにも関わらず、顧客が一方的に怒っていたため、やむを得ず、顧客の了解を得たうえで行ったことである。

なお、このとき、原告は、山本代理の注意を涙ながらに聞いており、十分反省している。また、原告が、今後も電話を切ることがあり得る旨述べたのは、マニュアルに記載されていない事項が生じた場合の指導を十分に行わないでオペレーターにのみ責任を押しつけるのであれば、応対の方法の一つとして電話を切ることもあり得ることを指摘したに過ぎない。

(五) 西山センタにかかってくる電話の中には、いたずら電話や単なる苦情申立の電話なども多く、これらに長時間関わっていたのでは、業務に支障をきたすことになりかねないのであるから、これらに対し、回線を切断することは、オペレーターの職責をまっとうし、業務上の支障を防ぐためのものであるから、何ら就業規則に反するものではない。八月二七日に原告が回線を切断したのは、まさにそのような場合であった。

また、被告は、オペレーターが顧客との応対に苦慮した場合の対応につき、何ら適切な指導をしなかったため、原告は、自分なりに正しいと思う方法で応対せざるを得なかったのであって、仮にそれが適切さを欠く応対であったとしても、それは十分な指導を怠ってきた被告の責任である。

3  平成八年八月二八日以降、原告が被告の提示する三条件に同意しなかったのは、被告が、その指導が不十分であったことを棚に上げ、一方的に原告の非を責めたため、右条件に同意したとしても、再び顧客との応対を理由に解雇されるに違いないと考えたためである。

そして、被告は、このような条件を一方的に示し、勝手に交渉を打ち切って解雇に及んだのである。

4  以上のとおり、原告には解雇理由が存在せず、また、原告が被告の提示する三条件に同意しなかった点も原告のみを責めることはできないのであるから、本件解雇は、合理的理由がなく、解雇権を濫用したもので、無効というべきである。

四  争点

本件解雇が解雇権濫用に当たるか否か。

第三争点に対する当裁判所の判断

一  当事者間に争いのない事実、証拠(略)及び弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。

1  西山センタでは、オペレーターが電話番号を問い合わせる顧客との間でトラブルを生じて対応に苦慮した場合には、挙手して主任に対応を任せるよう指導しており、オペレーターの側から回線を切断することは厳しく禁止していた。

2  原告は、従来より、顧客との対応でトラブルを生じることが多く、また、勤務中独り言を言ったり、オペレーター台を足蹴りにしたりキーを乱暴に叩いたりすることがあり、その都度、上司から注意を受けていた。

平成八年六月以降も、原告は、同月七日、一四日、一八日に顧客とトラブルを生じたほか、同年七月二六日には、キータッチが荒く独り言が多いため、上司が注意し、帰宅させたところ、翌二七日から三〇日まで欠勤した。

原告の雇用契約は、同年七月末で期間が満了したが、同月三〇日に山本代理が原告に電話して勤務の意思を確認したところ、原告は、心を入れ替えて勤務する旨述べたため、同月二日、行所長は、出勤した原告に対し、パートタイマー雇入通知書(書証略)を交付し、期間を平成九年一月三一日までとして、雇用契約を更新した。

3  原告は、雇用契約が更新された後も、平成八年八月二一日に自分のオペレーター台のコンピューターの電源を切り、上司から注意を受けたほか、同月二四日には、顧客と応対中、一方的に回線を切断し、上司から注意を受けた。

さらに、同月二七日にも、原告は、番号案内を巡って顧客とトラブルを生じ、一方的に回線を切断したことから、上司及び行所長から注意された。そして、同日の勤務終了後、山本代理が、原告に対し改めて回線を切断してはならない旨注意したのに対し、原告が「自分は悪くない。システムが悪い。今後も切ることがある」旨答えたため、立腹した山本代理は、原告に対し、「解雇だ。明日から来なくてよろしい」旨告げ、原告のIDカードを取り上げ、帰宅させた。

4  同年八月二八日、原告の両親が行所長に架電したところ、同所長は、「解雇は正式決定ではない。本社と相談したうえで決定する。追って連絡する」旨解答した。原告は、同日以降出社しなかった。なお、被告は、原告に対し、同年九月分の個人別ローテーション表(各オペレーターの勤務日が指定された表)は八月中に交付していたが、同年一〇月分以降は交付していない。

同年九月六日、行所長らが原告宅を訪問し、原告及びその両親に対し、<1>顧客との対応中、一方的切断はしない、<2>顧客との対応中、顧客と口論はしない、<3>キーボードの乱暴な取扱いや台の足蹴りをしない、という三条件の遵守を確約するならば、引き続き業務に従事させることが可能である旨告げたが、原告は、一方的切断をしないという点は納得できないとして、確約に応じなかった。

その後、原告及びその両親と行所長及び被告との間で、電話での交渉が何度かもたれたが、被告が前記三条件の確約が勤務復帰の条件であるとの立場を崩さなかったのに対し、原告がその確約に応じなかったため、何ら進展を見なかった。

5  被告は、同年一二月四日、これ以上交渉を続けても無駄であると判断し、原告を同月一〇日付けで解雇する旨の行所長名の解雇通知書を原告に送付した。

6  就業規則第一〇条は、「会社は、パート社員が次の一に該当するときは解雇することができる」旨規定し、その(5)に「職責を尽くさず、又は職務を怠り、よって業務に支障をきたしたとき」、その(6)に「業務上の指示命令に従わないとき」が挙げられている。

二  以上の事実に基づき、本件解雇の効力について検討する。

1  前記認定の事実によれば、原告は、平成八年八月二四日及び二七日に顧客とトラブルを生じ、被告において厳しく禁止されているオペレーターの側から回線を切断する行為に出たことが認められるのであって、右行為は、就業規則第一〇条の(5)及び(6)に該当するものということができる。

右事実に加え、原告は、雇用契約が更新される前である平成八年七月以前にも、欠勤、顧客とのトラブル、キーボードの乱暴な取扱いや台の足蹴り、独り言などが多く、特に、同年八月に雇用契約を更新する直前には四日間の無断欠勤をするなど(なお、原告は無断欠勤ではない旨主張するが、(証拠略)、原告本人によれば、原告は、上司から勤務態度について注意され帰宅した後、被告から連絡がないため、届けも出さずに出勤しなかったというのであり、無断欠勤に該当するというべきである)、勤務態度が良いとは決していえなかったこと、原告の回線切断行為があった同年八月二七日に、上司である山本代理から、今後回線切断をしないよう注意されたのに対し、「自分は悪くない。システムが悪い。今後も切ることがある」と、反省の色を見せずかえって開き直るような対応をとったこと、翌二八日以降の原告と被告との交渉においても、被告側が求めた「電話回線を切断しない」ことの確約に難色を示し続けたことを勘案すれば、被告が、原告との雇用関係の回復を断念し、本件解雇に及んだのもやむを得ないことといわなければならず、本件解雇は、解雇権の濫用となるものではなく、有効というべきである。

なお、原告は、雇用契約を更新する前の事情は、本件解雇の正当性を基礎付ける事実とはなり得ない旨主張する。確かに、被告が、原告のそれまでの勤務態度等を認識したうえで雇用契約を更新したのであるから、それ以前の事実そのものを解雇理由とすることは許されないといわなければならない。

しかしながら、本件のように短期の雇用契約の更新が続けられていた場合において、雇用契約更新後行われた就業規則違反行為を理由とする解雇の有効性を判断するに際し、雇用契約更新前の勤務態度等を考慮することは、もとより許されるというべきであるから、原告の主張は理由がない。

2  これに対し、原告は、右回線切断行為は必ずしも就業規則に違反するものではなく、原告が解雇されたのは、原告がたまたま同日の就業時間終了後社内に残っていたところ、山本代理と口論になったためであって、被告自身も、原告の回線切断行為の直後は、これらが就業規則に違反するとは考えていなかった旨主張する。しかしながら、証拠(略)によれば、西山センタでは、顧客サービスの観点から、オペレーター側から電話を切ることは厳禁しており、トラブルを生じたときは挙手して主任に対応を任せるよう指導していたこと、原告は、これを認識していながら、八月二七日のトラブル時には、挙手することなく回線を切断したこと(原告は、原告本人尋問において、挙手したかのような供述もしているが、「中途半端に上げた」と曖昧な供述であるうえ、陳述書(書証略)には挙手した旨の記載がなく、挙手したものとは認めがたい)、八月二四日の回線切断行為に際しては、怒った顧客から「さっきのものを出せ」と苦情の電話が入り、被告の業務に具体的支障が生じたことがそれぞれ認められるのであって、原告の前記行為が就業規則の前記条項に違反するものであることは明らかである。

確かに、被告が本件解雇に及んだのは、原告が、八月二七日の業務終了後、山本代理から注意を受けたのに対し、これに従わず、かえって開き直るような対応に出たことが直接の契機であったことが窺われるけれども、就業規則に違反する行為が行われた場合に、直ちに解雇を検討しなかったとしても、右行為に対する従業員の反省の程度や態度等を勘案したうえで解雇することは、何ら許されないことではないから、右事実は、本件解雇の効力を左右するものではないというべきである。

また、原告は、被告は、顧客とのトラブルが生じたときの対応について一貫した指導をしておらず、回線を切断したことについて原告のみを責めることはできない旨主張する。しかしながら、(書証略)によれば、トラブルを生じたときには主任に対応を代わることで被告の指導は一貫していたものと考えられ、原告本人も、回線を切断してはならない旨指導されていたことは認めているところである。なお、この点に関し、原告本人は、主任によって指導内容が異なっていたとも供述しているが、原告本人の供述は、前後矛盾する部分があるなど一貫性がないうえに、内容も曖昧な部分が多く、理解が困難で、信用性に乏しい。むしろ、原告本人尋問の結果と弁論の全趣旨を総合すれば、原告は、原告宛ての電話の二、三割がいたずら電話であると思いこみ、そのような電話の場合は電話を一方的に切断しても構わないとの独自の見解を有しており、回線を切断してはならないとの被告の指導に従わなかったものと見るのが自然であるから、原告の主張は理由がない。

三  原告の賃金請求権について

1  前記のとおり、本件解雇が有効であるとしても、原告の平成八年八月二八日から同年一二月一〇日(解雇の効力が発生した日)までの賃金請求権の有無が問題となる。

この点については、右期間の原告の不就労が、被告の責に帰すべき事由による就労不能であるか否かによって決すべきところ、明記認定のとおり、被告の山本代理は、同年八月二七日、原告に対し、「解雇だ。明日から来なくてよろしい」と告げ、西山センタ内に入るために必要な原告のIDカードを取り上げたこと、その後、被告が、原告に対し、出勤を命じた形跡がないことに照らせば、同月二八日以降原告が就労しなかったのは、被告による不当な就労拒否によるものというべきであるから、原告は、右期間の賃金請求権を失わないというべきである。

2  そこで、右期間に原告が取得すべき賃金の額について検討するに、(書証略)によれば、原告の給与は、時間給制であり、当該月の出勤日数及び時間に応じて金額が定まるところ、各月の出勤日数は、前月に交付される個人別ローテーション表によって定まるため、一七日から二一日の範囲で変動することが認められる。したがって、直近三か月の給与の平均をもって、同年八月二八日以降の原告の賃金額とすべきところ、右平均額は、一四万一二四七円【計算式(一五万二〇八〇円+一一万〇五二〇円+一六万一一四二円)÷三】となるから、原告が請求することのできる賃金額は、月額一四万一二四七円と解すべきである。

したがって、原告の平成八年八月二八日から同年一二月一〇日までの賃金額は、次のとおり四八万七五二九円となる(一か月に満たない月は日割計算による)。

八月分 一万八二二五円

【計算式 一四万一二四七円×四÷三一】

九月分 一四万一二四七円

一〇月分 一四万一二四七円

一一月分 一四万一二四七円

一二月分 四万五五六三円

【計算式 一四万一二四七円×一〇÷三一】

四  結論

以上の次第であるから、原告の請求のうち、解雇無効の確認を求める部分は理由がなく、平成八年八月二八日以降の賃金の支払を求める部分については、四八万七五二九円の支払を求める限度で理由がある。

(裁判官 谷口安史)

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